ピアノ演奏向けの防音室の選び方

アーティクル

今回の記事ではピアノ演奏のために防音室の導入を検討されている方にむけ、ピアノ演奏のための防音室の選び方を解説します。

必要な性能やサイズを踏まえ、おすすめ機種も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ピアノ演奏に必要な防音性能とは

ピアノの音量は約80〜90dbと言われており、比較的大きな音を発生します。また音域もその他の楽器と比べても広く、本格的な防音設備を要する楽器の一つです。

ユニット型防音室で対策を行う場合、できれば40db程度、少なくとも35db以上は遮音できるスペックの防音室が望ましいでしょう。

『防音室の選び方 > ②どこまでの防音性能を求めるか』でも解説していますが、一般的に50dbを超える音が騒音とされているため、90dbの音量を50dbまで下げるには、40db程度の防音性能を持つ防音室が必要です。

編集長 前村
編集長 前村

ピアノの場合は近隣住民への配慮の観点から導入される場合が多いかと思いますが、その場合は物件の部屋自体の防音性性能や、ピアノの設置方法においても防音効果の積み増しが可能なため、ニーズに応じて防音室+αの対策も有効でしょう。

ただ基本的に積み増し効果に関して、dbの計算は単純に足し算では計算できず、足し算の結果より小さくなるため、あくまで+αとしておくのがオススメです。

ピアノ演奏に適した防音室のサイズ

推奨サイズ
アップライトピアノ2.0畳〜
グランドピアノ
C3クラスまで)
3.0畳〜
グランドピアノ
C7クラスまで)
3.5畳〜

グランドピアノであれば3畳以上、アップライトピアノであれば2畳以上の防音室を導入されるのが良いでしょう。

【結論】ピアノ演奏におすすめの防音室と費用シュミレーション

【高い防音性能】カワイ-ナサール(新品)

UWS22-24(DR50/3.4畳)
本体価格3,146,000円
総工賃200,000円(※概算となります。)
3,346,000円

①Dr50前後のトップクラスの防音室を②新品にて設置した場合は、約330万円ほどとなります。

Dr50に対応したユニット型防音室はヤマハからは出ておらず、サイズも大きいため、中古市場でも流通数は少ないので、基本的に新品での購入が必要となります。

また上記に加えて、ピアノを搬入する場合にクレーン作業が必要になる場合があります。相場は約10万円弱となっています。

【高コスパ】ヤマハ-アビテックス(中古)

UWS22-24(DR50/3.4畳)
本体価格800,000円
総工賃200,000円(※概算となります。)
1,000,000円

続いてDr35対応、3.4畳モデルのヤマハ アビテックスでのシュミレーションした場合、合計費用は約100万円となりました。

流通量の多いアビテックスにすることで、中古市場での購入が可能となり本体価格を抑えることが可能です。ただ当然性能はDr50のナサールと比べると劣るため、こちらは予算との兼ね合いでの判断となります。

編集長 前村
編集長 前村

費用対効果の観点では、Dr値を少し落としてでも中古モデルで導入されるほうが、圧倒的に費用を抑えることができオススメです。

吸音材の追加やピアノ足、防音室下部への防振ゴムの設置、防音室と居室壁の空間の確保など、追加で防音性能を高めることも可能です。『どうしても防音室単体だけでDr50前後の防音性能を確保したい!』という方や『完璧な遮音性能が欲しい!』という方以外は、上記スタイルも検討されるのがオススメです。

ピアノ向けに防音室を導入する際の注意点

湿度の管理

防音室内にピアノを設置する際にまず注意が必要なのが、湿度管理です。防音室はその目的上機密性が高く、内部の空気も滞留しやすい設計となっています。

そのため夏場は多湿に、冬場は乾燥に気をつけないと、音が狂ってしまう可能性があります。

特に日頃からしっかり調音されたピアノを使われている方は室内に湿度・温度計を設置し、こまめに温度・湿度管理をされるのが良いです。

搬入のタイミング

防音室内にピアノを設置する場合、防音室の入り口からピアノを搬入することはできないため、組み立ての途中段階でピアノを搬入する必要があります。

ピアノの搬入・吊り上げ業者と、防音室の設置業者が連携して施工を行う必要があるため、ピアノを入れたい場合は速い段階で、双方の業者に『ピアノを搬入したい旨』を伝えておく必要があります。

防音室+ピアノ本体の重量

最後の注意点は、設置物の合計重量に関してです。グランドピアノは約300kg、3畳クラスの防音室は約500kgとなり、合計で800kgの物品を設置するため、建物の耐久性の確認が必要になります。

建築基準法上、一般的な住居では1平米あたり、180kg以上の負荷に耐えられるように設計されています。そのため3.4畳の防音室にグランドピアノを設置した場合でも、平米あたりの重量は約132kgとなり、基準内に収まることが多いです。

とはいえ上記はあくまでも一般論で、築年数の古い木造建物の2階に設置する場合などは、耐荷重性能が劣化している可能性などもあり、事前に建築・設計会社への確認されるのがよいです。

重量物の設置時の考え方については『2階に防音室を置きたい!注意点と確認方法』で解説しています。

その他ピアノ防音に使えるアイテム

ピアノストップ

引用元 : Amazon

ピアノストップは上記のようなピアノの足の位置を固定するための器具です。

本来は地震発生時などにピアノが動かないようにするための器具ですが、防振仕様のものを利用することで、ピアノ本体から発生し床に伝わる振動を軽減する効果があるものも販売されています。

ピアノは音域が広く、特に低い音の振動を防ぐにはこのようなアイテムが有効です。特に賃貸物件やマンションなどでは、ピアノからの床への振動を軽減でき、階下への防音効果を高めることが可能です。

防振ステージ

引用元 : 楽天市場

こちらもピアノストップ同様、ピアノから床面に伝わる振動を減らすためのアイテムとなります。

各パネルが分厚く重量のある素材で作られているため、ピアノストップに加えて直接の振動を軽減する効果があり、こちらもマンションなど、集合住宅で利用されるのにオススメの防音アイテムとなっています。

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著者情報

中古防音室JP代表 前村孟

中古防音室JP代表(公安委員会60107R070043号)。防音室に関する中古防音室JP公式YouTubeチャンネル運営。サウンドソムリエ2級(登録番号2-JP000183)。

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